シビックテック から考える地域課題の本質
こんにちは!! 今回記事を担当します 加藤 です。よろしくお願いします。
1月27日~29日にかけて行われた「富山市里山ハッカソン in 小見」というハッカソンイベントに運営スタッフとして参加してきましたので、ここに内容と所感を残したいと思います。

はじめに
まずはじめに皆様は「シビックテック(Civic Tech)」という言葉をご存知でしょうか。
以下、Code for Japan からの引用となりますが、ざっくり説明するとこんな感じです。
シビックテック(Civic Tech)とは…
「Civic(市民)がTech(技術)を使って、地域や身近な困り事を解決すること。」
もう少し詳細に書くと、地域課題を行政に頼らずに住民自身がテクノロジーを活用して解決しようという取り組みです。
今回参加したハッカソンは、まさにこの取り組みにつながるもので、「小見」という中山間地域(いわゆる田舎)が抱える課題解決を目標に、地元住民と、IT技術者や企業人との間でアイデアを出し合い、プログラミングからプロダクトの作成までを行うイベントでした。
また、このハッカソンではもう少し踏み込んだことを重要なテーマとしています。それは最終目標を単なる地域課題の解決で終わらせないことです。ゆくゆくは「関係人口」を構築していくことを目指しています。(また難しい言葉がでてきましたね…すみません)
以下、総務省からの引用です。
関係人口とは…
「 ”関係人口” とは、移住した ”定住人口” でもなく、観光に来た ”交流人口” でもない、地域や地域の人々と多様に関わる人々のことを指します。」
過疎化が進んだ地方圏では、人口減少や高齢化により、そもそもその地域を存続させる担い手がいないことを問題として抱えています。その中で地域性の高いミクロな課題に取り組んでも、問題の根本である次世代の担い手が増えることはありません。いわゆるその場しのぎでしかないです。
そのため、地域内に閉じるのではなく、外部から地域に関わりをもってくれる人を増やそうというのが大きな目標となっています。
イベント構成
大きくアイデアソンとハッカソンに期間と内容を分けて実施しました。
1.アイデアソン
a. インプットセミナー
i. 小見地区自治振興会会長の山森さんから、小見の歴史や特色についてご紹介をいた
だきました。
ii. 一般社団法人BOOT代表理事の矢部さん と 西会津町CDOの藤井さん から、福島県
西会津町での事例をご紹介いただき、一つの事例から関係人口とはどういうものであ
るかや、その築き方を学びました。
b. グループワーク
小見でのくらしに対する課題は何か、小見の強みは何か、弱みは何かなど、小見の現状
をグループ毎に分析していきました。
また、分析結果から関係人口になりそうな人物像を絞り込み、その人たちの興味を引く
ためのアイデアを考えていきました。
2.ハッカソン
a. インプットセミナー
小見を含む周辺地域にある博物館や資料館を訪問し、その地域の歴史や特色を学びまし
た。
b. グループワーク
各チーム、フィールドワークや話し合いを重ねながら、アイデアソンで出たアイデアを
プロダクトとして具現化していきました。
諸事情で録画を載せられなかったので、各チームのプロダクトの概略だけ書き残しておきます。
<最終プロダクト>
1.キング・オブ・オミ
クエスト形式で小見地区にまつわる課題をクリアしてもらい、進行度をポイント化。利用
者間でポイントを競い合い、キング・オブ・オミを目指す。
2.音のおみやげ
小見の自然の音、環境音などをプラットフォーム化し、配信形式で販売する。また、小見
に直接来ていただいた方にお土産として音を提供する。
3.oh 見たことない料理ができた
食材を選択し、AIを使って自動で料理レシピを作成。AIのレシピ精度があまり高くなく、
ランダム性が高いことを逆手に楽しむ。
4.小見カップ
ウィンタースポーツに焦点を当て、スキージャンプなど競技性の高いものを得点化し、個
人や家族単位で記録する。期間を絞り、自己記録の更新を目標に参加者に競ってもらう。
5.ただいま小見
小見の観光資源や歴史などのコンテンツを俯瞰してみれるホームページ。小見のマップを
地元の方と利用者で共有し、一緒に編集することで育てていく。
どのチームのアイデアも独自性が高く、また、3日間の間にこれらを、ホームページやアプリケーションとしてプロダクト化していることに驚きました。その熱量と技術を私も見習いたいと思います。
おわりに
今回、私自身、中山間地域のハッカソンというものに初めて関わらせていただいて、過疎化が進んでいる地域の現状が見えてくるとともに、そのような地域でも、アイデア次第で多くの人を巻き込んでいけるプロダクトが作成できることに感銘を受けました。
また、個人的に印象に残っていることが、インプットセッションでの西会津町のお話の中にあった「自分ごと」で考えるということです。
厳しい意見かもしれませんが、減っていく人口や若者が来ないことをただ嘆いたり、行政組織に地域の活性を過度に期待しても何も変わらないと考えています。まず、その地域に住む方々が、いかに熱量を持って「自分ごと」としてとらえ、どうするべきかを考えていくことが大切であり、そこから、その熱量に追従する人「関係人口」が増えていく、というような良い循環が生まれるのではないでしょうか。それこそが「シビックテック」の第一歩であると私は考えます。
今回のイベントが、「小見」という地域が「シビックテック」を進めていく上での第一歩として寄与できていることを期待します。
結びとなりますが、弊社 EvoLiNQ では、今回のようなハッカソンの運営のほか、IoT機器の導入やオープンデータの活用等さまざまなサービスを取り扱っております。地域課題に限らず、生産性向上やコスト改善など、企業様向けの経営課題にも積極的に取り組んでおりますので、お気軽にご相談ください。