ユウタウン総曲輪と駐車場
3月26日、富山テレビで「ユウタウン総曲輪テナント撤退相次ぐ」というニュースが流れました。Yahoo!ニュースにも転載されたためご覧になった方もいるかもしれません。簡単に内容をまとめておきます。
2016年に開業したユウタウン総曲輪では、テナントの撤退が相次いでいる
現在14区画のうち2区画が空いた状態になっており、さらに回転寿司店も営業していない
近くの歩行者数はオープンした年より減っており、街の賑わいにはつながっていない
ユウタウン総曲輪は富山市中心商店街の中でも新しい施設で、私も映画館にはよく行きます。そんな施設が苦戦しているのはとても悲しく思います。
富山市の中心商店街は「大和」という百貨店を中心に、東西に延びています。大和がある通りを「総曲輪(そうがわ)」、路面電車を挟んで東側が「中央通り」、片側3車線の国道41号線を挟んで西側が、今回話題にする「ユウタウン総曲輪」となります。
全国の例に漏れず富山市でも中心商店街の地盤沈下は顕著で、富山市を中心に様々な施策が打たれています。中でも「公共交通を軸としたまちづくり」は富山市の重点施策であり、路面電車の「環状線」を新設するなど多くの事業が実施されています。
一方で住民の感覚からすると、中心商店街への交通手段は「自家用車」だという意識があります。中心商店街だけで買い物全てを賄うことは通常できず、郊外のショッピングセンター、ニトリやコストコなどで買い物をするときには、自家用車はやはり便利です。休日になると、百貨店の「大和」に近い駐車場は満車で、常に渋滞が発生しています。
繰り返しになりますが、休日には百貨店「大和」と直結している駐車場は常に満車の状態です。ところが、渋滞はしていますが車の入出庫はそれなりに多く、それほど待たずに駐車できるような印象があります。なぜでしょう?
ここからは仮説になりますが、駐車場の無料サービスと関連していると考えています。
富山市中心商店街には店舗で一定額以上買い物をすると駐車場が2時間無料になるサービスがあり、百貨店「大和」では2,000円以上の買い物でこのサービスを受けられます。さて皆さん、「大和」でショッピングを十分楽しみたいときは、車をどこに停めますか?
多くの方は大和に最も近い駐車場を選択されるでしょう。近ければ移動にかかる時間が少なくて済み、その分をショッピングにあてることができます。2時間ギリギリまでショッピングを楽しみ、すぐ隣の駐車場に移動すれば駐車料金はかかりません。入出庫が多いのは、ほとんどの駐車車両が2時間以内に出庫するからではないでしょうか。
私は、この状態が悔しくてたまりません。大和に来た人たちが東西に延びる商店街を歩いてくれたら、ユウタウンまで足を延ばしてくれたら、もっと中心商店街は活性化し、魅力的なお店も増えるはずです。
では、どうすればよいのでしょう?
ひとつの策は、無料枠に差を付けることだと考えます。例えば大和に近い駐車場は「2時間無料」、少し離れると「3時間無料」、遠くになると「8時間無料」とすることです。「8時間無料」の駐車場に停める人は、朝から中心商店街に来て、買い物をし、ランチを食べて、映画を見たり美術館に行って、お茶して帰るという使い方をします。あまり時間がなく、大和にだけ用事がある人は、今まで通り大和の隣にある駐車場に車を停めて、短時間で帰ればいい。
ユウタウンには480台が駐車できる立体駐車場があります。さらに西の「レガートスクエア」にも、300台を超える収容能力を持つ立体駐車場があります。これらの駐車場が「長時間無料」サービスを実施すれば、中心商店街での滞留時間を増やすことができ、ユウタウンを通る人の数も多くなることでしょう。さらに駐車車両が分散することで渋滞がなくなり、多くの人がストレスなく街を楽しむことができるようにならないでしょうか。
公共交通を軸とした街づくりは間違いなく必要なことで、数十年先を見ると必ず効果は表れるはずです。一方で、数年~十数年のスパンで考えると自家用車で中心商店街を訪れる人は引き続き多く、無視するわけにはいきません。
作ってしまった施設は、どうにかして活用していきたいものです。富山市の中心商店街が魅力的なものになれば、一市民として嬉しく思います。