オープンデータ利活用事例としての富山のバス情報とオープンデータの課題

はじめに
バス情報のオープンデータには、バス停の位置情報、バスが通る経路、バスの発着の時刻などの情報が格納されています。富山県の場合、これらの情報が全バス路線で整備されています。これは、2018年から富山県内の自治体、バス事業およびCode for Toyama で進めてきた取り組みです。今では、とやまロケーションシステムでも活用されており、そのデータは、トヨタファイナンシャルサービス株式会社が運用しているMyRouteでも利用されています。
データ形式の標準化・オープン化のメリット
データ形式を標準化することによって得られるメリットはとても大きいです。このスライドでは、データ標準化によるメリットをまとめています。
例えば、以下のことがあげられます。
標準形式のデータを作成、利活用できるツールが充実する
ツールを利用出来る人が増えてコミュニティが形成される
データを活用するノウハウが生まれ、関係者たちが共有していく
関係者(運営する人、自治体、市民、企業など)が同じデータを見ながら意見交換する場をつくるきっかけとなる
形式を標準化すること、そして、作ったデータをオープンにしていくことは、関係する人たちが効率的、有機的に動かしていくきっかけになると言えます。
データ利活用の進め方
データ形式の標準化・オープン化にはとてもメリットがあることなのですが、実際に利活用はなかなか進んでいません。バス情報のオープンデータ化は、オープンデータ界隈ではかなり成功している部類といえます。それでも、活用されていない…とよく言われます(特に、行政のかたから)。これは、とても不思議なことといえます。バス情報に限らず、行政が作る”オープンデータ”は、行政の業務から出てきたものなので、まずは行政で活用できることが多いはずです。バス情報であれば、バスの運行に限らず、都市計画・まちづくりにも活用できますし、福祉・教育などの計画でも利用ができそうです。
まとめ(OPENDATA とEBPM)
近年、行政ではEBPM(Evidence-Based Policy Making)が重要視されています。政策立案の基礎を客観的証拠に基づいて行う考え方です。それであれば、オープンデータについては、政策立案に使った客観的証拠を公開するというのが王道といえるはずです。現時点では、自治体の政策に使ったものは、なかなかデータとしては公開されず、せいぜい加工された表・グラフが公開されるにとどまっています。このことは、オープンデータが中々進まないというのは誤りで、行政におけるEBPMが進んでいないのかもしれません。今後、効率的で公平性のある政策を実現するために、自治体はより一層、EBPMを進めていく必要があるのではないでしょうか?
ちなみにこちらが、GTFS勉強会のときの説明資料になります。
弊社では、オープンデータ活用、バス情報の活用を始め、様々なデータ活用のお手伝いをしております。公共・自治体のみならず、一般企業の方向けにもサービスを展開しておりますので、ご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。